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Wednesday, October 21, 2020

テスラ、「利益の質」も改善 本業EVの稼ぐ力高まる - 日本経済新聞

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テスラが19年末に稼働させた中国・上海市の新工場=ロイター

テスラが19年末に稼働させた中国・上海市の新工場=ロイター

【シリコンバレー=白石武志】米電気自動車(EV)メーカー、テスラの収益が改善している。21日発表した2020年7~9月期決算は最終利益が3億3100万ドル(約345億円)と前年同期の2.3倍に伸びた。米国の環境規制に伴う"副収入"に頼らなくても稼ぐ力がつきはじめ、量産車メーカーとしての安定感を示しつつある。

「テスラの将来についてきょうほど楽観的になったことはない」。5四半期連続で最終黒字を保った7~9月期の決算発表で、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の声はいつになく晴れやかだった。

■中国でEV販売伸ばす

新型コロナウイルスの感染拡大局面からいちはやく抜け出した中国でEVの販売を伸ばし、売上高は87億7100万ドルと39%増えた。事前の市場予想(82億ドル前後)を大きく上回ったことが好感され、21日の米国市場の時間外取引でテスラ株は終値に比べ一時4%高をつけた。

これまで環境規制に助けられてきた「利益の質」も改善した。ガソリン車メーカーは一定割合のエコカー販売を義務づける米カリフォルニア州の「ZEV規制」に適合するため、EV専業のテスラから余った温暖化ガス排出枠(クレジット)を購入している。規制強化に伴って売買額は増加傾向にあり、テスラは20年4~6月期決算では4億2800万ドルのクレジット売却益を計上することで1億400万ドルの最終黒字を確保した。

7~9月期決算でもZEV規制の恩恵を受け続けたが、3億9700万ドルのクレジット売却益を差し引いても最終損益はほぼトントンとなる水準にまで収益体質は改善した。売上高営業利益率は9.2%と前年同期の2倍超に高まり、本業のEVの生産と販売によって稼ぐ力を蓄えつつある。

■生産もグローバル化

ザッカリー・カークホーン最高財務責任者(CFO)が「コスト削減戦略の中心的な要素だ」と位置づけるのが、EV生産のグローバル化だ。

19年末に米国外で初となる完成車工場が中国・上海市で稼働し、それまで50%未満だったテスラ車の現地生産比率は70%まで高まった。輸出入の費用を抑えることで、テスラは中国生産する「モデル3」の価格を段階的に引き下げることにも成功している。

中国政府の補助金などを活用した場合、最も安価なグレードならモデル3を24万9900元(約390万円)で購入できるようになっている。ガソリン車と比べても競合できる水準で、調査会社のマークラインズによると7~9月の中国におけるテスラのEV販売台数は前年同期比2.6倍の約3万4000台に伸びた。

カリフォルニア州が35年までにガソリン車の新規販売を禁止する方針を打ち出すなど、環境規制の追い風は強まる一方だ。テスラの株価は過去1年で株式分割を考慮した実質ベースで8倍超に伸びた。20年の世界販売の目標は50万台と自動車大手の20分の1程度。だが、21日の終値ベースの時価総額(3938億ドル)はトヨタ自動車と独フォルクスワーゲン、米ゼネラル・モーターズの時価総額の合算値(約3500億ドル)を上回る。

■トップへの依存なお懸念

懸念は経営トップの個人的な力量への行きすぎた依存だ。マスク氏は21日の電話会見で、独ベルリン郊外と米テキサス州で建設中の新工場ではEVの設計や生産工程を抜本的に見直す考えを表明した。両工場におけるEVの量産については「今まで見てきた中で最も難しい課題の一つだ」と言い、21年の稼働後もフル生産に達するまで1~2年かかる可能性を示唆した。

17年から18年にかけてはカリフォルニア州の工場でロボットによる自動化を追求しすぎたためにモデル3の量産が難航し、週ごとに約1億ドルの資金流出が続く倒産危機に見舞われた。イノベーションのスピードを飛躍的に高めることで圧倒的な競争優位を築こうとするマスク氏の手法にはリスクも多く、成長のブレーキとなる恐れもある。

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