山根博士の海外モバイル通信 第520回
2020年11月05日 10時00分更新
OPPOから分社化されたRealmeのスマートフォン出荷台数が5000万台のマイルストーンに到着しました。2018年5月に最初のモデル「realme 1」をリリースしてから、Realmeは右肩上がりの成長を記録しています。
relme 1はOPPOの低価格ブランドとしてインドに投入されました。MediaTekのHelio P60、6型(2160x1080ドット)ディスプレー、1300万画素カメラ+フロント800万画素カメラ、3410mAhバッテリーというスペックで価格はメモリー3GB+ストレージ32GBモデルで8990ルピー(約1万3000円)でした。
Realmeはインドのアマゾンと提携してオンライン販売に特化。OPPOのメインラインとのバッティングを避けました。あえて低価格モデルを投入したのはインドでシャオミのRedmi Noteがバカ売れしていたからでしょう。Redmi NoteはRedmiより大型のディスプレーを搭載したシリーズです。2018年2月にインドで発売された「Redme Note 5」は5.99型ディスプレー、Snapdragon 625、1200万画素カメラ+フロント500万画素カメラ、4000mAhバッテリー。メモリー3GB+ストレージ32GBモデルで9999ルピー(約1万4000円)でした。
Redmiより安くてカメラのいいrealme 1は一気に人気となり、10万台が一瞬で完売。Redmi(シャオミ)はオレンジ色をコーポレートカラーにしていましたが、Realmeのブランドカラーはイエロー。この黄色いブランドの大成功から、OPPOはすぐにRealmeの分社化を決定しました。OPPOの別ブランドとして、特に低価格モデルを中心としたメーカーとして独立させることで販売数を延ばせると考えたのでしょう。
独立後は中国や新興国にも製品を展開していきます。2019年に上位モデルの「realme X」シリーズなどを追加、ポップアップ式カメラを搭載したフルビューディスプレーを搭載したモデルも出すなど、Realmeは「格安ブランド」からの脱皮を急激に進めます。
日本でもちょっと話題になったのが、深澤直人氏がデザインした「realme X Master Edition」。オニオンスキンのデザインは上品であり、Realmeのターゲットユーザーである若者層にRealmeの新しい魅力を伝えました。このデザインは斬新で、今からでも改めて日本で販売してほしいと筆者は思っています。
そして2019年10月に発表した「realme X2 Pro」はついにSnapdragon 855を搭載します。カメラも6400万+1300万+800万+200万画素と堂々としたスペックです。このX2 Proの登場で、RealmeはOPPOとラインナップもかぶる、競合する完全独立メーカーとして独り立ちできたわけです。
2020年1月には初の5Gスマートフォン「realme X50 5G」を発表。5Gスマートフォンの投入時期としては遅くはないでしょう。Snapdragon 865を搭載し、大手メーカー製品に引けを取らない性能です。なおこのモデル以降、現在までに5Gスマートフォンを10機種以上もリリースしています。
Redmeの競合として生まれたRealmeですが、Redmeのお株を奪う製品も投入しています。2020年9月に発表した「realme V3 5G」は中国で初めて1000元を切る999元(約1万6000円)の5Gスマートフォン。チップセットはMediaTekの低価格5Gモデル向け「Dimensity 720」を初搭載しています。ちなみに中国で初めて2000元を切る1999元(約3万1000円)の5Gスマートフォンは、2019年12月に発表された「Redme K30 5G」でした。
低価格スマートフォンのマーケットリーダーと言えばシャオミのRedmeでしたが、Realmeはそのポジションも奪おうとしているのです。ハイエンドからエントリーまで、そしてそのすべてのラインナップに5Gモデルを展開しているRealme。そろそろ日本にも来てほしいところ。グローバルでは気が付けば世界シェアは7位。レノボ(モトローラ)、LGよりも出荷台数は上回っているのです。
先日オッポジャパンが社名をオウガジャパンに変えましたが、これはRealme日本上陸のフラグかもしれません。日本の5Gはエリアもまだ狭く普及には時間がかかりそうです。しかし、低価格なRealmeの5Gスマートフォンが出てくれば、4G機を選ばず5Gモデルを買う消費者も増えるでしょう。日本の5Gの普及拡大のためにも、Realmeの日本市場参入を期待したいものです。
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