大手呉服店社長ら逮捕 無許可で前払い金を払わせ着物販売か…客には認知症の高齢者も
更新:2021/11/29 11:52
近畿一円に20店舗以上を展開する大手呉服販売店「きもの松葉」の社長らが、客から複数回にわたり前払い金を受け取るなど、違法な販売方法をしていたとして逮捕されました。客の中には認知症の高齢者もいて、警察は販売の実態を調べています。
兵庫県尼崎市に住む60代の男性は、90歳の母親が同じ呉服販売店から着物50着を購入して、総額5000万円以上を支払っていたといいます。呉服のほとんどは一度も着られることなく眠ったままでした。
(母親が着物を大量購入した男性)
「老後の資金はほとんどなくなっています。何十着くらい買ったかわかる?」
(母親)
「わからへん。一番“偉い人”とかが来て…」
母親に着物を売っていたのは大阪や奈良など近畿一円に20店舗以上を展開する大手呉服販売店「きもの松葉」。11月29日にその社長らが逮捕されました。割賦販売法違反の疑いで逮捕されたのは、「きもの松葉」の社長・松葉将登容疑者(48)と債務管理部長の田中保明容疑者(66)です。
奈良県警によりますと、松葉容疑者らは17人の客に着物を売る際、国の許可を得ずに2回以上に分けて「前払い金」を払わせた上で商品を渡していた疑いがもたれています。商品の引渡し前に「前払い金」を2回以上に分けて客から受け取る場合、店が金だけ受け取り商品を渡さないなどのトラブルを避けるために、国の許可が必要です。しかし松葉容疑者らは許可を得ていなかったということです。
捜査関係者によりますと、松葉容疑者らはクレジットカードなどを持つことができない高齢者にも高額な着物を販売できるよう、違法な「前払い」を導入していたとみられています。
逮捕前の今年9月、松葉容疑者はJNNの取材に対して次のように話していました。
(記者)「割賦販売の許可は取っていますか?」
(松葉容疑者)「割賦販売の許可は取っていないですけど。クレジット会社とかカード会社とかそういった部分が割賦販売法の範疇であって」
一方、高齢者へ着物の販売については次のように話しました。
(松葉容疑者)
「その人が認知症であるかの判断はものすごくつきにくい。僕たちはお客さんの言うとおりにするだけなんですよ」
警察の調べに対して松葉容疑者は、「細かい数字は分からないが間違いない」と容疑を認めているということです。
大阪市の消費者センターには、認知症の高齢者が「きもの松葉」から着物を次々と購入させられたとの相談も寄せられていて、警察は松葉容疑者らが違法性を認識していたのかなど全容解明を進める方針です。
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