公的年金は何歳で受け取るかで金額が大きく左右される。個人の選択が大きく試される時代になった(デザイン:池田梢、小林由衣)
いったい何歳で年金をもらえばいいのか━━。
2022年4月1日から年金制度が改正された。いくつか改正点はあるが、最大のポイントは「受給開始の繰り下げ年齢」が延びたことだ。
国民年金や厚生年金などの公的年金は本来、65歳で受給を開始することになっている。生きているうちは同じ金額を受け取れる終身年金である。従来は60歳から70歳まで受給開始年齢を選ぶことができた。これが今回、60歳から75歳まで延長されることになったのだ。
本来の65歳より早くもらうことを「繰り上げ」、遅くもらうことを「繰り下げ」と呼ぶ。早くもらうと、1カ月ごとに0.4%減額され、逆に遅くもらうと、1カ月ごとに0.7%増額されるようになっている。
これをそれぞれ最大限まで引っ張るとどうなるか。60歳まで繰り上げると、総額で24%減。反対に75歳まで繰り下げると、総額で何と84%も増える計算になるのだ。
標準夫婦で月22万円なら、25年間で計6600万円
4月18日発売の『週刊東洋経済』4月23日号では「年金の新常識」を特集。年金制度の改正が老後にどんな影響を与えるか、さまざまな視点で取り上げている。
年金は職業や収入、加入期間によって、個々人が受け取る金額は違う。会社員と専業妻の標準世帯で、2022年度は月額21万9523円(もらう場合は2カ月分が翌日15日に振り込まれる)。約22万円で年間264万円として、老後を25年間ととらえれば、累計6600万円だ。この金額が増えるか減るかは馬鹿にできない。6600万円が84%増えると、1億2000万円を超える。
ちなみに現在、メガバンクの定期預金は年0.002%。それどころか今後は預けているだけで銀行から手数料が取られると予想されている。
ではみんながみんな、金額が増えればいいと思うとは、限らない。実際、2019年度に繰り下げを選んだ人は、自営業者が加入する国民年金で1.5%、会社員や公務員が加入する厚生年金で0.9%にすぎなかった。
一見、少なすぎるように見えるが、実はこれには過去、60歳から65歳へ受給年齢を延長した際の政策が影響している。生年月日によって受給開始を1歳遅らせるのに3年、5歳で計15年かけて段階的に移行しているため、該当する人たちは、60~64歳の間で特別支給の老齢年金を受け取る形になっており、その間は繰り下げを請求できないためだ。65歳に完全移行する2025年度(男性、報酬比例部分)、2030年度(女性、同)をすぎれば、繰り下げを選ぶ人たちが増えてくるだろう。
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