熊本県弁護士会の男性弁護士による多額の預かり金の流用。「SNSこちら編集局」(S編)には「私も被害に遭った。100万円受け取れていない」という女性から情報が寄せられた。取材すると、男性弁護士による引き延ばしともとれる生々しいメールのやりとりから、女性が受け取るべき約106万円の入金がずるずると遅延されていく過程が浮かんだ。
八代市の女性看護師(45)は、祖父母や母が残した不動産を相続した叔母から、相続に代わる「代償金」を受け取るはずだった。ところが叔母が相続手続きを依頼した男性弁護士に代償金を預けたところ、入金はないままだ。
「年末にかかりますので送金は年明けになってしまうかもしれません」。男性弁護士から振込先の口座を確認するメールが届いたのは昨年12月24日。女性が口座を指定したのが12月27日だ。しかし、1月になっても入金はなかった。
「その後どうなったでしょう」。尋ねる女性に男性弁護士は1月24日、送金予定が2月8日にずれ込むと答え「私がテレワークとなっており、少しお時間をいただければ」とした。
だが、2月8日になっても入金はない。尋ねた女性に男性弁護士は、娘が通う幼稚園で新型コロナのクラスター(感染者集団)が発生し、自分と妻も感染したと釈明。「保健所からの指導で外出ができません。外出できる見込みが立ちましたらすぐに」と返答した。
明確な入金日と「事務所で代行はできないのか」と問う女性に、男性弁護士は「保健所に確認しましたが、隔離期間は13日までで延長の可能性があるとのことです」と返信。2月14日の送金を約束しつつ、「症状悪化等の事情が生じた場合は代替手段を取ります」と言葉を重ねた。
さすがに怪しんだ女性。14日も入金はなく、男性弁護士を問い詰めると「遅延金として3万円追加するので期日を2月28日にしてほしい」とのメールが返ってきた。女性は「遅延金などいらないから、受け取る権利のある分をきちんと送金すること」を要求。28日も入金はなく、男性弁護士が所属する弁護士事務所に電話したが「既に辞めた」とのこと。同じ日、県弁護士会が男性弁護士の私的流用を公表した。
警察には叔母が今月上旬に被害届を出したという。熊日は男性弁護士からも話を聞こうと携帯電話を鳴らしているが、すぐに留守番電話になり「メッセージがいっぱいでお預かりできません」との音声が流れる。女性は「まさかこんな事に巻き込まれるとは。弁護士という職業でも安易に信じてはいけないと思った」と嘆いている。(太路秀紀)
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