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Tuesday, March 8, 2022

【特集】生理の貧困 継続的な支援を |NHK 静岡県のニュース - nhk.or.jp

(ディレクター・甘粕亜美)
3月8日は国連が定めた「国際女性デー」です。新型コロナの影響などで収入が減った女性が、生理用品を十分に買えないことから広まった「生理の貧困」という言葉。

浜松市が行ったアンケートの回答です。
「お金がなかったためトイレットペーパーを代用して使っていた」
「夫に甘えだとか自己管理が甘いとか寝込むたびに嫌な顔をされた」

経済的な面に限らず、生理に対する周囲の理解不足から職場や家庭で不自由な思いをしたなど、さまざまな問題が指摘されています。県内の多くの自治体では生理用品の無償配布をはじめとする支援が行われていますが、直接窓口で受け取ることをためらう人もいます。そんな中、誰もが周りの目を気にせず生理用品を受け取れる環境を整えようと取り組む現場を取材しました。

【誰でも気軽に生理用品を受け取れる環境を】

静岡県立大学では「生理の貧困」問題に直面する学生を支援しようと、2021年6月、大学職員によるワーキンググループを結成しました。
学生にアンケートを行ったところ「生理用品が手に入らず困ったことがある」と、およそ4人に1人が回答しました。大学内に無償配布の窓口を設けましたが、配布できたのは1か月で10セットだけ。想定より希望者が少なかった背景には、「欲しいときにすぐ受け取れない」「周りの人に見られたくない」といった意識があると感じています。

(静岡県立大学 事務局総務部 齋藤賀陽子室長補佐)
「ちょっと購入が厳しいというところから欲しいという学生さんもいたんですけど、緊急時、突然というときのために置いておいていただけると助かるというような意見もありまして、大学としてしっかりサポートしてあげたい」

どのような形での支援が望ましいか。
学生へのアンケート結果ではトイレへの生理用品の設置を望む回答が8割以上にのぼりました。一方で、慎重な意見も。
「生理用品を置いておくとごっそり持っていってしまう人がいるのではないか」
一部の男子学生からは「自分たちの学費から設置費用が賄われることにためらいがある」という声も上がりました。

学生たちの声に応えられる支援をどう実現するか。目を付けたのが東京のベンチャー企業が提供している、トイレの個室で生理用ナプキンを受け取れるサービスでした。大学の学長を交えた打合せで学生からも直接意見を伝えた結果、国公立大学では全国で初めて導入が決まりました。

大学内の女性用トイレの個室に設置された装置にスマートフォンのアプリをかざすと、生理用ナプキンを無料で受け取ることができます。アプリで2時間に1枚までと管理されている上、装置からその都度出てくるため衛生面での不安もありません。1日におよそ40枚の利用があるということです。

(学生)
「清潔なナプキンを使うことができるというのはすごくいいなと思っています」
「(生理が)思ったより早く来ちゃうみたいなことはよくあって、困ったときにすぐ使える場所があるっていうのがまず1番の安心感かなと思ってます」

画面に表示される広告の収入で装置やナプキンの購入費用が賄われていて、大学側の負担は48台の設置で40万円ほどに抑えられました。大学では今回のサービス導入を機に、生理による負担を社会全体でどう軽減していくか、学生たちに考えるきっかけにしてほしいといいます。

(静岡県立大学 事務局総務部 齋藤賀陽子室長補佐)
「生理ということが本当に女性だけの負担にならずに、社会全体で支えるべきだよねっていう声が普通になっていくといいなって思ってます」

初めて生理を迎えてから閉経するまでの平均年数は、およそ35年から40年と言われています。生理用品の購入費用に加えて、急な体調の変化など負担は決して小さくなく、多くの人に行き渡る継続的な支援が欠かせません。社会全体で生理による負担を減らしていくためには、性別や立場を問わず正しい知識や教育の機会が必要です。県内の自治体の中には自らの意識改革を通じて支援の輪を広げようとする動きが出てきています。

【生理をオープンに 管理職の生理研修】

「男性だけじゃなくて、女性もどういう知識が必要なのか意外と知らない」

浜松市役所で行われた「生理研修」です。NPO法人から講師を招いて、市民部の管理職20人が参加しました。事前に女性職員から聞き取った、職場における生理についての悩みをテーマに意見を交わします。

まず、職場で生理について困っていることがあるかという質問に対しては
「体調が悪くても言えない」
「トイレに何回も行くとさぼりと思われないか不安」といった悩みが示されました。

(浜松男女共同参画推進協会 道喜道恵理事長)
「大体生理の時は2時間くらいでトイレに行ってナプキンを交換するのがいいと推奨されている。(会議で)トイレ休憩がない、そういったところを配慮いただくこと、小さなことだが大事」

管理職の職員からは、自らの体験に基づく疑問が出ました。
「たまたま生理不順だったのかわからないが(職員が生理で休んだことが)月に2度3度、実際3回あった。ほんとなの?と聞けない」
「月に2,3回はたぶん病院に行って下さいと言わないといけない。生理は病気じゃないが生理痛は病気になる」

つづいて、部下が生理休暇をとることについてもさまざまな意見が出ました。
「私は相談されたことも申請されたこともない。何かあったら相談してもらえるように意識を持っていきたい」
「休暇を取ってくれる方もいらっしゃった。今考えると上司に女性の管理職がいた課ではそうだった。これが男だけだったらどうだったのかな」「生理休暇1日では収まらない場合もあるので、そこは理解してもらうような声かけを努力している」

ふだんなかなか言葉にしない生理のことをオープンな場で話し合い、職場の一人一人に合った働き方を作り上げていく第一歩になりました。

(参加した管理職)
「やっぱり改めて聞くとそうだよねっていうところを再認識できたというところは非常によかったなと思ってます」

研修後、市民部では話し合いを通して見えてきた課題やすぐに改善できることをまとめたマガジンを発行しました。役所内で生理痛の薬を受け取れたり、ベッドで休んだりできることなど身近な情報も掲載しています。

(浜松市役所 市民部UD男女共同参画課 河合多恵子 課長補佐)
「まずは本市で率先してこういった生理の取り組みをすることによって企業ですとか周りの市民の方に周知が広まっていけば」

大学生が自ら生理の知識を広める活動をはじめている例もあります。
常葉大学の4年生杉山弥鈴さんが制作したフリーペーパーです。イラストを交えて生理の仕組みや生理用品の種類を説明しているほか「まわりの女性が生理の時どういう対応をするべきか」といった日常的に役立つ知識も掲載しています。500部制作し、図書館やカフェなど県内10か所で無料で配布しています。ぜひ手に取って生理について学ぶ機会にしてほしいと思います。

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