北陸新幹線金沢―敦賀間の開業が1年半遅れるとの見通しが11月11日示されたことを受け、関東圏からの誘客に向けてまちづくりを進める沿線自治体や経済界からは、「あまりにも突然」「受け入れがたい」と憤りの声が上がった。沿線4駅周辺を中心に2023年春の延伸を見据えて取り組んでいるだけに、年単位で遅れれば影響は甚大。予定通り開業できるよう国の対応を強く求めた。
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「新幹線時代」を見据えて再開発事業が進む福井市のJR福井駅西口の通称「三角地帯」。駅前電車通り北地区B街区再開発準備組合の藤井裕理事長は「遅れるとしてもせいぜい半年だと思っていた。あり得ない話」と吐き捨てた。別の再開発関係者も「あまりにも突然で頭が動いていない」と、ショックを隠しきれない様子だった。
10月に解体工事が始まったA街区再開発組合の市橋信孝理事長は「県全体の活性化や経済的な効果を見込んで新幹線延伸をビル開業の目標時期にしてきた」と困惑。23年春を見据えたビル開業のスケジュールは維持するとしたが、ホテルの集客などに不安が残る。
東村新一福井市長は11日、国土交通省などに新幹線の整備促進を要望するため上京。再開発事業だけでなく、市が新幹線駅東側に整備する観光交流センターなどへの影響も懸念され、「あらゆる手段を尽くし予定通り開業するよう国に強く要望していく」とのコメントを出した。
あわら市がJR芦原温泉駅西口に整備する「賑(にぎ)わい施設」の完成予定も23年春だ。佐々木康男市長は「たとえ(開業が)遅れても予定通りオープンする。市民が集う拠点施設でもあり、開業までの期間を無駄にはしない」と声を大にした。22年春に西口で営業開始を予定するビジネスホテルについては「オープンを遅らせることはないと思うが、経営的にあてが狂うだろう。観光宣伝で後押しする必要がある」とした。
同市の芦原ゴルフクラブでは、新幹線開業に合わせて23年秋の日本女子オープン選手権の開催が決まっており、開業の遅れは大会のPRなどに影響しそうだ。
敦賀市は、JR敦賀駅西側に「交流・にぎわい拠点」を22年夏にもオープンする予定。市の担当者は「影響はあるが、駅周辺のホテルニーズは衰えておらず、予定通り進めたい」と強調し、敦賀駅の工事が開業遅れの要因になっている点には「少しでも短縮できるよう鉄道・運輸機構、JR、県との連携を強化したい」とした。
県経団連の伊東忠昭会長は「開業延期は受け入れがたい。23年春を照準に地元準備が着々と進む中、その根底を覆す信じられない事態だ」と指摘。「4駅周辺のまちづくりや地域商業の停滞、民間投資の腰折れ、並行在来線会社運営など経済的影響は極めて大きい」とし、地元が納得できる解決を国に強く求めると訴えた。
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