26日朝、紋別市の沖合のオホーツク海で操業中の毛ガニ漁船がロシア船籍の運搬船と衝突して転覆し、漁船の乗組員3人が死亡しました。海上保安部は27日以降、双方の船の関係者から本格的に聞き取りを行い、衝突の原因を調べることにしています。
26日午前6時ごろ、紋別市にある紋別港の北東およそ23キロ沖合のオホーツク海で、▼毛ガニ漁をしていた紋別漁協所属の漁船「第八北幸丸」(9.7トン)と▼紋別港に向かっていたロシア・サハリンのネベリスク船籍の運搬船「AMUR(アムール)」(662トン)が衝突しました。
この事故で「第八北幸丸」は転覆し、乗組員5人全員が「AMUR」に救助されましたが、紋別海上保安部によりますと、5人のうち▼機関長の沼端賢良さん(64)と、いずれも甲板員の▼井上征俊さん(37)、▼今野俊介さん(39)の3人が死亡しました。
船長らほかの2人も軽いけがをしました。
「AMUR」の乗組員23人にけがはなかったということです。
地元の漁協によりますと、当時、船を止めて毛ガニ漁をしていたところ運搬船が衝突し、転覆したということです。
また、気象台などによりますと、当時、現場海域では波は穏やかだったものの、濃霧注意報が出されていたということです。
「第八北幸丸」は巡視船などにえい航され、26日午後10時40分ごろに紋別港に到着しました。
27日は午前9時から海保のダイバーが水中に潜るなどして、船体の損傷の状況を調べることにしています。
現在、紋別港には「AMUR」が停泊していますが、乗組員はPCR検査で陰性が確認されるまで上陸できないため、海上保安官が乗船して聞き取りを進めているということです。
海上保安部は27日以降、双方の船の関係者から本格的に聴取を行うほか「AMUR」が航行したルートを解析するなどして衝突の原因を調べることにしています。
【船長「ロシア船すぐに衝突」】
ロシア船と衝突して転覆した「第八北幸丸」の吉岡照由船長(63)が26日夜、NHKの取材に応え、「エンジン音を聞いたときにはロシア船が迫っていてすぐにぶつかった」と当時の状況を証言しました。
この中で吉岡船長は、「当時は霧がかかっていて数メートル先も見えなかった。衝突したときは一気に船が転覆させられ、バリバリっという感じだった。いまは悲しみを通り越して何も考えられない」と話しました。
吉岡船長によりますと、当時は漁船を止めてカニ漁をしていて、別の船のエンジン音が聞こえたためレーダーなどを確かめようと操だ室に入ったところ、警笛を鳴らす間もなくロシア船が右舷側にぶつかってきたということです。
ロシア船の警笛は聞いていないということです。
衝突で漁船は横倒しになりましたが、吉岡船長は操だ室のドアを押し開けて間一髪で脱出しました。
当時、ほかの4人の乗組員は、ロシア船がぶつかった右舷側で作業をしていたということです。
【地元漁協の会見】
今回の事故を受けて紋別漁協が記者会見を開き、近くで操業していた僚船の乗組員が当時、周辺の海域は霧がかかっていたと証言しました。
紋別漁協は26日午後4時から記者会見を開きました。
それによりますと、事故に遭った漁協所属の毛ガニ漁船「第八北幸丸」は、午前4時にほかの5隻と船団を組んで紋別港を出発し、その後、沖合で毛ガニ漁のかごを揚げる作業をしていたということです。
毛ガニの漁船団を率いていた神敏雄船団長によりますと、当時、周辺の海域は霧がかかっていましたが、操業を始めてすぐにロシア船を確認し、「第八北幸丸」を含むほかの船舶に注意するよう無線で呼びかけていたということです。
午前6時ごろ、再度、僚船に無線で呼びかけても「第八北幸丸」から返事がなく、およそ30分後に止まっていたロシア船に近づいたところ転覆した漁船を確認したということです。
紋別漁協の飯田弘明組合長は、「ロシア船は紋別港に向かう本来の航路から外れていて、なぜそのような動き方をしたのか非常に不可解だ。レーダーを見ていれば船体の陰が映るはずなのに疑問に思う」と話していました。
【ロシア船の航跡】
船舶の位置情報をもとに運航ルートを公開している民間のホームページ「マリントラフィック」によりますと、毛ガニ漁船と衝突したロシア船籍の「AMUR」は、25日午後1時ごろサハリンを出港し、北海道に向かってオホーツク海を南に進んでいました。
衝突した時刻の26日午前6時ごろには、紋別港に向かって右側に方向転換した直後、スピードが急激に遅くなり停止しました。
【紋別沖は毛ガニ漁盛ん】
事故が起きた紋別沖は毛ガニ漁が盛んな場所で、例年、流氷が遠ざかる3月ごろから7月にかけて行われます。
ことしもオホーツクの毛ガニは資源不足が深刻な状況ですが、流氷の下の冷たい海で栄養を蓄え、身が締まって味のよいものが多いということです。
26日は、「第八北幸丸」など紋別漁協所属の漁船6隻が船団を組んで出漁し、現場海域で漁をしていました。
【ロシア側も捜査】
紋別市の沖合のオホーツク海で日本の毛がに漁船とロシア船籍の運搬船が衝突し日本人の乗組員3人が死亡したことを受けて、ロシア極東サハリン州の捜査当局は、衝突した「AMUR」の船員から過失がなかったかなど聞き取り調査を行うと発表しました。
東京にあるロシア大使館はフェイスブック上で、「お亡くなりになった方々のご家族、ご親族の皆様には心よりお悔やみ申し上げます。日本側と緊密に連絡を取り、当時の状況の解明に努めているところです」とコメントしています。
ロシア国営メディアによりますと、この船は1989年に日本で建造され、現在はロシア極東サハリン州にある水産会社「アムールスコエ」が所有する中型のトロール漁船だと伝えています。
「アムールスコエ」の担当者はNHKの取材に対し、「情報収集を行っているが、船も船員も日本側にあるので、まだ状況がつかめていない。航路はいつもと同じところを通っていた」と話しています。
からの記事と詳細 ( 紋別沖で毛ガニ漁船とロシア船衝突3人死亡 原因調査へ|NHK 北海道のニュース - nhk.or.jp )
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