確定申告の対象は、自営業者に限りません。会社員やパートタイマー、公的年金の受給者でも、確定申告をすれば「還付金を受け取れるor節税になる人」あるいは「その可能性の高い人」がいます。必要なのは確定申告書1枚を提出するだけ。コロナ禍で経済に明るい兆しが見えないなか、もらわない手はありません。『いちばんわかりやすい確定申告の書き方』(ダイヤモンド社刊)の監修者である土屋裕昭氏が、確定申告で還付金を受け取るチャンスのある人の条件を解説します。
確定申告の4つのキーワード
「収入」「所得」「経費」「控除」
確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日)に得た所得にかかる所得税及び復興特別所得税を自分で計算し、税務署に申告するものです。納めていない税金のある人は3月15日までに納税し、税金を納め過ぎている人は申告から1カ月ほどで還付(返金)されます。
じつは事業を行っている人は「消費税の確定申告」も原則必要ですが、こちらは別扱いで、一般に確定申告と呼ばれるのは、前記「所得税及び復興特別所得税の確定申告」のことです。所得税に関する申告であり、消費税や贈与税、相続税など他の税金は計算に含めません。
では、所得税額はどのように計算するのかというと、下記の計算式で求めます。
〔所得の計算式〕
所得=収入-経費
〔所得税額の計算式〕
所得税額=(所得-所得控除)×所得税率-税額控除
※2037年までの間、上記に復興特別所得税額(=所得税額×2.1%)を加算
一つ目の〔所得の計算式〕について見てみましょう。自営業者(個人事業主やフリーランス)の場合、収入は「売上」、経費は「事務所家賃」「仕入高」「旅費交通費」などが該当します。会社員の場合、収入は「給与・賞与(額面)」、経費は収入別に決まっている「給与所得控除」。同様に公的年金をもらっている人の場合、収入は「公的年金(額面)」、経費は「公的年金等控除」となります。
こうして所得を算出した後、二つ目の式に進みます。わかりづらいのは「所得控除」と「税額控除」でしょう。「控除」とは、納税者の負担を軽減するために設けられた、いわば割引サービスです。
前者の「所得控除」には、基礎控除や社会保険料控除、配偶者控除、医療費控除など14種類あり、条件を満たしている人は所得から一定額を差し引くものです。所得が減れば、当然、所得税率を掛けて算出する所得税額も少なくて済みます。たとえば、所得税率が20%(累進課税のため、所得によって異なる)だった場合、家族の医療費が年間20万円かかっているケースでは、確定申告をすることで(20万円-10万円)×20%=2万円が還付されます。
後者の「税額控除」は、所得控除を差し引いて算出した段階の所得税額から、直接一定額を差し引くものです。住宅ローン控除や配当控除などがあります。
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