老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、遺族年金をもらうようになった方は、医療費控除をすることに意味があるのかについてです。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
Q:遺族年金を受け取るようになりました。医療費控除をやる意味はありますか?
「夫が亡くなり遺族年金を受け取るようになった50歳の専業主婦です。今年分の医療費が多く年間100万円ほどかかりました。医療費控除を確定申告する意味はありますでしょうか?」(東京都・匿名希望)遺族年金をもらっている50歳の専業主婦。医療費控除を確定申告したほうがいい?
A:相談者は、所得税を納付していないので、確定申告で医療費控除をする意味はありません
最初に、医療費控除について確認します。医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に、本人または本人と生計を一にする配偶者や、その他の親族のために支払った医療費が、一定の金額を超えた場合に受けられる所得控除になります。支払った所得税の一部が還付(振り込まれる)される制度です。
相談者は、専業主婦で給与収入もなく、遺族年金のみの収入で生活されているとのことなので、支払う所得税がありません。法律にもとづいて支払われる遺族年金には、所得税は課税されないからです。したがって、確定申告で、医療控除をする意味はありません。
ですが、相談者は100万円ほどの高額な医療費を支払ったとのこと。健康保険の高額療養費制度を利用してみましょう。
高額療養費制度とは、病院などの医療機関や、薬局の窓口で支払った額(食費や差額別途などは含みません)が、ひと月(月の初めから終わりまで)で自己負担の上限額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度です。
相談者は、専業主婦とのことですので、国民健康保険に加入しているかと思います。その場合、高額療養費の支給申請は、市町村の国民健康保険の窓口に、高額療養費の支給申請書を提出または郵送することで支給が受けられます。
医療費控除制度は税金を軽減できる制度になりますが、高額療養費制度は健康保険の制度になりますので、全く違う制度になります。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
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