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Friday, May 12, 2023

年金は何歳から受け取るのが得なのか | Mocha(モカ) - FP Cafe

23/05/13

相続・税金・年金

年金は何歳から受け取るのが得なのか

年金の種類や受け取り方を理解しておこう

老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)は、原則として65歳から受給できます。
ただし、希望すれば60~75歳の間で受給開始時期を自由に選べます。
65歳より前にもらい始めることを「繰り上げ受給」といいます。これは早くもらえる分、年金がひと月あたり0.4%減ります。一方、66歳以降にもらい始めることを「繰り下げ受給」といいます。こちらはひと月遅らせるごとに0.7%年金額が増えていきます。

繰り下げ受給を活用すれば、最大84%も年金を増やすことができますが、実現するには、年金をもらうまでの収入を確保することが課題になります。

「定年後ずっと使えるお金のルール」(宝島社)より

また、年金にはもらえる時期が限定しているものもあります。
たとえば、60代前半にもらえる「特別支給の老齢年金(特老厚)」は、繰り下げ制度がありません。該当する人は、自分がもらえる年齢をチェックし、忘れずに請求しましょう。年金は、請求せずに5年経過すると、古い順から1カ月ずつ時効消滅し、もらえなくなります。

「繰り上げ受給」「繰り下げ受給」のデメリットを知っておこう

繰り下げ受給は年金が確実に増やせる方法ではあるものの、長生きできないと損になるというデメリットがあります。
たとえば、75歳から受け取り始めたとしても、85歳ぐらいで死んでしまったとすると、65歳から20年間本来の金額で年金をもらったほうがたくさんもらえたということになります。また、受取額が増えるということは、税金や社会保険料、医療費の窓口負担が増えることにもつながります。これらの負担が高齢期に増えるのは避けたいものです。

とはいえ、繰り上げ受給は、年金額が減る時点でデメリットです。こちらは、減額された年金を一生受け取るため、長生きすればするほど損になります。
寿命は不確定な要素のため、予想することは困難です。しかし、多くの人が長生きする時代であることをから、基本的には繰り下げ受給のほうがはるかにお得です。

「定年後ずっと使えるお金のルール」(宝島社)より

ただやみくもに受給を遅らせるのではなく、デメリットも知ったうえで、自分にとってベストな繰り下げ受給の時期を考えていきましょう。

65歳まで健康ならば平均余命を参考にしよう

「長生きするなら、繰り下げ受給がお得!」と言われても、いつまで生きるのかを想定するのは、非常に難しいと思います。そこで、参考にしたいのが、厚生労働省が毎年発表している「簡易生命表」です。
これは、日本にいる日本人の死亡率や平均余命などを算出したデータですが、人生100年時代といわれるだけあって、確かに多くの人が長生きするだろうということがわかります。

「定年後ずっと使えるお金のルール」(宝島社)より

これから約30年後には、男性の4割、女性の7割が90歳まで生存することが予想されています。また、65歳を迎えた人があと何年生きるかという期待値を表した平均余命に注目すると、男性は約20年、女性は約25年生きられそうだということ
がわかります。

つまり、健康な状態で65歳を迎えた人ならば、男性なら85歳、女性なら90歳まで年金をもらうということが想定されます。よって、70歳繰り下げ受給を選んでも、損益分岐点を超えるので、65歳からもらい始めるより、受取総額が多くなると予想できます。

68歳からの受け取りが目安のひとつ

70歳以降まで年金を繰り下げするには、それまでの収入を確保しなければならないなどの課題もあります。また内閣府の高齢社会白書令和4年版によると、健康寿命(日常生活に制限のない期間)は、男性で72.68歳、女性で75.38歳です。もらい始めるタイミングが遅いと、楽しむためにお金を使うということができないかもしれません。

「定年後ずっと使えるお金のルール」(宝島社)より

上のグラフは、各受給開始年齢から年金手取り総額が最も多くなる寿命を表したものです。ちょうど男性の平均寿命に近い84~86歳で手取り額が最大になるのは、68歳からもらい始めた場合です。
68歳ならば、65歳から3年待てば済み、健康寿命までに楽しむためのお金を使う時間もあります。年金は何歳から受け取るのが得なのか、一つの目安になりそうです。

『定年後ずっと使えるお金のルール』 頼藤太希 監修

『定年後ずっと使えるお金のルール』(宝島社)

定年前後は間違えると大変なお金に関することがたくさんあり、老後貧乏にならないためには定年前後の10~20年の実践が大事!
本書は、退職金・年金の受け取り方から、資産形成や資産運用の出口戦略まで、図解でわかりやすく解説した一冊。

頼藤 太希 (株)Money&You代表取締役/経済ジャーナリスト

中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書累計100万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。twitter→@yorifujitaiki

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