日本は「保険大国」といわれるだけあり、およそ9割弱の世帯が、なんらかの生命保険に加入しています。ひとりあたりの保険加入件数は平均4件、年間約38万円の保険料を支払い、万が一に備えているようです。
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しかし、一度契約した保険を見直す機会をつくっている人は、どれくらいいるのでしょうか。
生命保険の見直しを怠ったために、遺された家族に対して想いがかなわなかった2つの事例をご紹介します。
妻なのに…夫の死亡保険金を受け取れない
結婚5年目、お互い再婚同士の加藤ひろしさん(60歳、仮名)と、妻のまちこさん(55歳、仮名)。
先日ひろしさんが亡くなり、遺品整理をしていると、たんすの奥から生命保険の証券が出てきました。10年前に契約した保険でした。保険証券を見ると、受取人には前妻の名前が書かれていたのです。
前妻との婚姻期間中に契約した生命保険でしたので、受取人を前妻にしていることは何もおかしくありません。しかし、離婚したからといって勝手に受取人が変わるわけではありません。保険会社は、あくまで保険証券上の受取人に保険金を支払い、税務署へ保険金の支払い調書を提出します。
ひろしさんが生前、再婚した時に保険の受取人の変更をしていなかったばかりに、妻のまちこさんに保険金を遺すことができなくなるという残念な結果になってしまいました。
問題は、離婚、再婚した後に、保険の契約内容の見直しをしなかったこと。頭の隅にはあるけれども優先順位が低く、後回しにしてしまったのかもしれません。
人生の節目に、財産状況や家族関係が変わった時に「今、誰にこの保険が必要なのか?」を考える必要があります。
受取人はすでに死亡、保険金は誰の手に?
先日亡くなった加山ともこ(72歳、仮名)さんは、5年前に夫を亡くしており、長女、長男の3人家族でした。ともこさんの生命保険の受取人は、5年前に亡くなった夫のままです。となると、受取人は誰になるのでしょうか。
この場合、「受取人の相続人のうち生きている人」が代わりに受取ることになります。
受け取る保険金は、その相続人全員で均等に分けなければなりません。通常の遺産相続では、法律で決められた法定相続割合に応じて遺産を分けることになります。例えば配偶者は2分の1、子どもが2人いれば4分の1など、相続人によって受け取る割合が異なるのです。
しかし、保険金の受け取りにおいては、法律により、保険金額を相続人の人数で割り、それぞれ同じ金額を受け取ることになるのです。今回の受取人は長女と長男になります。この二人でともこさんの保険金を2分の1ずつ受け取ることになるのです。
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