
千葉県船橋市で戦時中に使われていた足踏み式のオルガンの修復作業が完了し、市では、哀愁ある独特の音色を多くの人に聞いてもらいたいとしています。
この足踏み式のオルガンは、太平洋戦争中の昭和19年ごろ、東京・神田の国民学校から船橋に疎開してきた子どもたちの学校で使われていたもので、船橋市郷土資料館に昭和61年に寄贈されて以来、壊れた状態のまま収蔵庫で眠っていました。
戦後75年あまりが経ち、船橋市はオルガンの音色を当時を知る多くの人たちにもう一度聴いてほしいと修復を進めることになり、横浜市の工房でことし1月からおよそ1か月間、修復作業が行われました。
オルガンはペダルを踏んで送った空気で「リード」と呼ばれる板を振動させて音を出しますが、修復作業は痛みの激しい「リード」や鍵盤のさびを落として磨き直したり、破れていた空気を送り込む袋を作り直したりして、ひとつひとつ丁寧に進められました。
オルガンの修復は「リード」の厚さや鍵盤を組む強さなど微妙な違いによって音が変わることなどから、ピアノよりも高度な技術が求められるということです。
修復を担当したヤマハピアノサービスのオルガン技師、馬場政法さんは「おおもとから直さなくてはならない部品が多く、修復にはかなり時間がかかりました。音はもちろん、外装も凝っていて見栄えもいいので、大事にしてほしい」と話していました。
先月末、修復を終えたオルガンは船橋市郷土資料館に到着しました。
緊急事態宣言が出されているため資料館は休館中ですが、オルガンは再び開館する日にそなえて展示スペースに置かれました。
館長の栗原薫子さんが「ふるさと」や「花」を弾くと、独特のやわらかい音が静かな館内に響き渡っていました。
栗原さんは「ペダルを踏み続けるのが大変ですが、哀愁ある胸にしみいるような音が出て心があたたかくなりました。デジタル化が進み、情感に訴えるようなものがなくなっていく中、70代以上の方にこの音色を聴いて、子ども時代を思い出してほしい」と話していました。
船橋市では今後、このオルガンの演奏風景を録画した動画を市内の高齢者施設の入所者に見てもらうほか、新型コロナウイルスの感染が落ち着いたら、演奏会を開催し独特の音色を多くの人に聞いてもらいたいとしています。
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