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Sunday, February 6, 2022

【確定申告】年金を受け取っている人でも申告が必要なケース・不要なケース - ARUHIマガジン

年金受給者は、「確定申告不要制度」の条件に合えば確定申告をする必要がありません。しかし、給与所得がある場合、控除を受けたりしたい場合などは、確定申告が必要なこともあります。

そこで今回は、年金受給者の確定申告について解説します。この記事を読むことで、確定申告が必要なケースがわかるでしょう。

年金受給者の確定申告不要制度とは?

確定申告不要制度とは、年金受給者の確定申告の負担を減らすために設けられた制度です。これにより、多くの年金受給者が確定申告不要となっています。ここでは、確定申告不要制度について解説します。

そもそも年金には税金がかかるの?

年金は公的年金、企業年金、私的年金の3種類に分類できますが、そもそも年金に税金がかかるのか知らない人もいるかもしれません。

公的年金には国民年金と厚生年金の2種類があります。国民年金と厚生年金から老後に受け取る年金をそれぞれ老齢基礎年金・老齢厚生年金といい、どちらも雑所得に分類され課税対象です。年金収入の合計額から公的年金等控除を差し引いた金額に対し、所得税と住民税が課税されます。ただし、遺族年金や障害年金は非課税です。

次に企業年金ですが、一時金ではなく年金として受け取る場合は公的年金に合算され、雑所得として課税対象となります。

なお、公的年金は65歳未満で年金額108万円、65歳以上で年金額158万円を超えると、一定額が源泉徴収されます。企業年金も源泉徴収されたうえで振り込まれます。

私的年金には確定給付企業年金(DB)や確定拠出年金(DC)、個人年金保険などがあり、一時金や年金として受け取る際にそれぞれ所定の方法で税金がかかります。

確定申告不要制度の要件

以下の要件を満たすと、確定申告不要制度が適用されます。

・公的年金などによる所得の合計額が400万円以下で、すべての年金が源泉徴収の対象となっていること
・公的年金などによる雑所得以外の所得金額が20万円以下であること

つまり、公的年金などによる所得が400万円以下でも、個人年金や給与などによる所得が20万円を超える場合は確定申告が必要になります。

また、前述のとおり遺族年金や障害年金はもともと非課税なので、確定申告は不要です。

年金受給者でも確定申告が必要になるケース

前述のとおり、確定申告不要制度の要件に当てはまらない場合は、年金受給者でも確定申告が必要になります。

特に、アルバイトなどで給与所得がある、家賃収入のような不動産収入がある、資産運用による利益を得た場合といった、公的年金以外の所得がある人は注意しましょう。

それぞれの収入を種類別に分け、控除額や経費を差し引いたうえで20万円を超えるかどうかで判断する必要があります。

もし20万円を超えていれば、確定申告を行わなければなりません。また、公的年金などの収入金額が年間400万円を超えている場合も、確定申告が必要です。

確定申告で還付金が受け取れるケースもある!

確定申告は不要でも、各種所得控除により還付金が受け取れる場合は、確定申告(還付申告)をしたほうがよいでしょう。確定申告を行わなければ、還付金が受け取れないからです。ここでは、確定申告で還付金を受け取れる主なケースを挙げます。

生命保険料を支払った場合

生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合、生命保険料控除の対象になる可能性があります。年金受給者は会社で年末調整をしないため、生命保険料控除を受けるには確定申告が必要です。

生命保険料控除の上限額は、2012年1月1日以後に締結した場合で12万円、2011年12月31日以前の契約は10万円です。ただし保険期間5年未満は対象外のケースがあるので注意しましょう。

なお、生計をともにしている親族が支払った生命保険料も、控除の対象となります。

年間の医療費が10万円を超えた場合

1月1日~12月31日までに支払った医療費が10万円を超えた場合、確定申告によって医療費控除を受けられます。生計をともにしている配偶者や親族が支払った医療費も、まとめて確定申告できます。

医療費控除は、医師・歯科医師による診療や治療、そのための医薬品の購入費用などが対象です。一方で、美容整形手術の費用などは対象外です。

控除額の上限は200万円で、次の計算式によって求められます。

「控除額=実際に支払った医療費-保険金などによって補てんされる金額-10万円または総所得金額×5%のいずれか低い金額」

マイホームの増改築をした場合

次のようなマイホームの増改築をした場合、一定の要件を満たせば各種控除を受けられます。

・住宅耐震改修
・バリアフリー改修工事
・省エネ改修工事
・多世帯同居改修工事
・耐久性向上改修工事
・認定住宅の新築など

確定申告をすることで、「住宅耐震改修特別控除」「住宅特定改修特別税額控除」「認定住宅新築等特別税額控除」が受けられる可能性があります。たとえば、住宅耐震改修特別控除の場合の控除限度額は25万円です。

ちなみに、所得控除は税率をかける前の課税所得から控除されますが、上記3つの税額控除は課税所得に税率をかけて計算した税額から控除されるため節税効果が高くなります。

特定の団体へ寄附をした場合

国や地方公共団体、特定公益増進法人などに寄附をした場合、寄附金控除を受けられます。ただし学校法人への寄附金は、入学に関するものを除きます。ふるさと納税については後ほど別の項目で解説いたします。

寄附金控除の額は次の計算式によって求められます。

控除額=特定寄附金などの金額-2,000円

なお、政党や政治資金団体への政治活動に対する寄附、認定NPO法人などや公益社団法人などに対する寄附については、所得控除の代わりに税額控除を選択することもできます。

災害や盗難などに遭った場合

本人や本人と生計を一にする配偶者や親族の資産が、災害や盗難などに遭って損害を受けた場合、雑損控除を受けられます。ただし、詐欺や恐喝は対象になりません。

雑損控除の対象となる資産は、自宅や家具、衣類などの日常に必要なものです。事業用の資産や別荘、30万円を超える貴金属や骨董品などは対象外なので注意しましょう。

雑損控除の額は次の計算式によって求められます。

次のうち多い金額が適用。
・(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
・(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

参照元:国税局「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」

ふるさと納税をした場合

ふるさと納税は寄附金控除の一種で、自治体に寄附をした場合に寄附額のうち2,000円を越える金額が所得税と住民税から控除される制度です。ただし、年収や扶養家族の状況によって、控除される金額に一定の上限があります。寄附をした自治体から返礼品が受け取れるため、この制度を利用して自治体へ寄附をする人も多いでしょう。

収入が年金のみの場合でもふるさと納税をすることは可能です。また、確定申告不要制度の対象者で、寄附先が5ヶ所以内であればワンストップ特例制度を活用できます。ワンストップ特例制度とは、寄附をした自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出すれば確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる制度です。

ワンストップ特例制度を活用できない場合や、確定申告不要制度の対象外となる場合は、確定申告で還付金を受け取れます。

ただし、年金の収入が少ないとふるさと納税の控除上限額を超えてしまう可能性があるため、事前にシミュレーションするとよいでしょう。

目安として、65歳以上で公的年金額が150万円を下回ると、寄付額上限が0円になり、寄付しても控除が受けられずすべて自己負担になる可能性があります。

まとめ

今回は、年金受給者でも確定申告が必要なケースについて解説しました。

公的年金などの合計額が400万円を超える場合や、それ以外の所得が20万円を超える場合は、年金受給者でも確定申告をしなければなりません。

また、生命保険料や一定以上の医療費を支払ったり、マイホームの増改築や特定の団体への寄附、ふるさと納税を行ったり、災害や盗難などに遭ったりした場合は還付金を受け取れることがあるので、確定申告をするとよいでしょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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