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Wednesday, April 15, 2020

3 退職金にも税金がかかる! 受け取り方による違いや控除について解説 - 株式会社三井住友銀行

退職金にかかる税金とは?

・退職金には「所得税」と「住民税」がかかる

退職金を受け取ったときにかかる税金は、所得税と住民税です。
所得税も住民税も「1年間の所得額(収入から必要経費を差し引いた額)の合計」に所定の税率をかけて算出します。

退職金を一度にまとめて(一時金として)受け取るのか、分割して(年金として)受け取るのかによって課税方法が異なるため、以下の表にまとめました。

退職金にかかる税金の仕組み

このように、受け取り方によって「退職所得」か「雑所得」かに分類されます。
細かい計算方法や、受け取り方による税金額の違いについては後述しますが、いずれにしても「退職金には税金がかかる」ということを覚えておきましょう。

税金の計算方法は?

・一度にまとめて受け取る場合、大きな優遇がある

退職金には所得税や住民税といった税金がかかりますが、社会保障的な役割を持っているため、税制上の優遇措置があります。

どのように優遇されているのか、また実際の税金の計算はどうなっているのかを確認していきましょう。

退職金にかかる税金の計算方法

※個人にかかる住民税は「所得割額」と「均等割額」で成り立っていますが、均等割額は自治体によって異なる(数千円程度)ため、ここでは住民税の主役となる所得割額のみの計算をしています。


上記の計算例では、退職金を一時金で受け取った場合の税金は、合計405,702円(所得税155,702円+住民税25万円)でした。

計算式を見ると、まず「退職所得控除額」が1,500万円差し引かれた上で、2分の1にする計算になっているため、退職金2,000万円全体に税金がかかるわけではなく、課税所得が250万円に軽減されているのがわかります。

退職所得控除とは、「課税対象の所得」から差し引ける金額のことで、一言で説明すると「税金がかからない部分」です。
このように退職金の計算では、差し引ける控除額が大きくなっているため、退職金にかかる税金を抑える課税体系になっているのです。

退職金そのものの計算方法はこちらの記事で解説していますので、あわせて確認してください。

【関連記事】退職金、いくらもらえる? 自分で計算して老後の生活を考えよう

退職金の受け取り方によって税金が変わる?

・一時金で受け取るのか年金で受け取るのかで異なる

先ほどの計算からわかるとおり、退職金にかかる税金は税制上優遇されています。
ただ、退職金を一時金で受け取るか、年金として受け取るかによって課税方法が異なるため、納める税金は変わってきます。

具体的に税金額がどう変わるのか、以下の事例を参考に見てみましょう。

退職金にかかる税金の事例

●退職金を一時金で受け取った場合の税金額は557,277
●退職金を年金で受け取った場合の初年度税金額は4496
という結果になりました。

一見すると、「年金で受け取るほうが、税金は安い」と感じるかもしれません。

たしかに、退職金を年金で受け取った場合、初年度については公的年金の受給がない分、税金額は少なめになっています。

しかし、今後65歳から公的年金の受給が開始すれば、初年度以降の税金額は変わってきます。また、退職金の残額は預金として保管されるわけではなく、運用されます。残額の運用が好調だと、受け取る退職金の総額は増えるため、それに比例して税金額も増えてしまいます。運用が不調でも、受け取る退職金額が減らない仕組みを導入している企業が多いです。

退職金を年金で受け取る場合は、退職後の生活によって毎年の税金が変動します。税金は、退職金の運用状況、公的年金の受給額、扶養親族の有無、医療費控除など各種控除の適用など、さまざまな要素で決まります。

これから先10年分の税金を正しく計算することはできませんし、税金額だけで一時金形式と年金形式とを比較するのは困難です。

一時金か年金かで悩んだら、税金額で比較するより、「退職金をどのように使っていきたいのか」を考え、適した方法を選ぶのがおすすめです。

確定申告は必要? 得するケースを紹介

・基本的には確定申告は不要

一時金でも年金でも、退職金にかかる税金は、それぞれ以下の条件を満たせば確定申告は不要です。

●退職金を一時金で受け取る場合
勤務先で「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば、退職金から自動的に所得税と住民税が源泉徴収されるため、確定申告は不要です。「退職所得の受給に関する申告書」は、基本的には勤務先から記入の指示があります。 

●退職金を年金で受け取る場合
その年の収入金額(公的年金や退職金など、「公的年金等に係る雑所得」に分類される所得の収入)が400万円以下で、かつ「公的年金等に係る雑所得以外」の所得金額が20万円以下の場合、所得税が源泉徴収されるため、確定申告は不要です。

・確定申告すると税金がお得になるケース

確定申告が不要でも、確定申告すれば税金がお得になるケースがあります。

【退職金を一時金で受け取った場合】

「退職所得の受給に関する申告書」を提出し、退職金の納税が済んでいる方でも、退職した年の給与所得が少ない場合は、確定申告で源泉徴収された所得税の一部が戻ってくる可能性があります。

税金が戻ってくる可能性があるのは、その年の給与所得から「各種控除(扶養控除や配偶者控除など)」を引ききれなかった場合で、かつ、所得税のみが対象です。

※住民税については該当しないため、注意してください。


たとえば、妻と子どもを扶養している方が1月に退職し、給与所得が60万円だった場合、その方が差し引ける控除額は最低でも114万円あります。

※基礎控除・扶養控除・配偶者控除の合計額。


本当は114万円引けるのに、給与所得が60万円だと、使いきれない控除額が54万円余ってしまいます。その54万円を退職所得に充てれば、退職金から源泉徴収された税金の一部が戻ってくるのです。

退職所得金額が250万円の場合、所得税・復興特別所得税の合計額は約156,000円です。しかし、54万円の控除を充てれば退職金の課税所得は196万円になるため、所得税と復興特別所得税の合計額は約87,000円です。

つまり、所得控除54万円の適用で、退職金にかかった所得税が約69,000円(156,000円-87,000円)戻ってくる計算になります。

このように、退職月によってその年の給与所得が少なくなる方は、確定申告をすれば源泉徴収された税金(所得税)が戻ってくる可能性があるので、覚えておきましょう。

【退職金を年金で受け取った場合】

退職金を年金で受け取り、所得税が源泉徴収されている方でも、以下のケースに該当すれば、税金が安くなる可能性があります。

●10年以内に住宅を購入し、住宅ローン減税を受けている場合
●ふるさと納税など、『寄付金控除』に該当する寄付をした場合
●その年に支払った医療費が一定額以上である場合
●災害や盗難にあった場合
●その他、公的年金の源泉徴収票に記載されていない控除額がある場合

もしいずれかに該当する場合は、確定申告で正しい課税所得を申告すれば、払いすぎた所得税が戻り、翌年の住民税を軽減できる可能性があります。

・税金を取り戻す還付申告は、1年中いつでもできる

税金を取り戻す申告のことを、「還付申告」と呼びます。

退職金を一時金で受け取る場合も、年金で受け取る場合も、還付申告は確定申告時期と関係なく、その年の11日から5年間有効なので、覚えておきましょう。

還付申告で所得税を戻してもらう手続きをすれば、住民税の申告も自動的に行われます。

まとめ

退職金を受け取るときは、所得税と住民税がかかります。
いずれも退職金をまとめて受け取るか、分割で受け取るかによって課税方法が異なる点に注意しましょう。
所得税や住民税の計算は複雑ですし、納税する方の状況によって税金額は変わります。そのため、どちらの方法が良いとは一概に言えません。

退職金にかかる税金で大切なポイントは、

●退職金をどう使うかに合わせた受け取り方を選ぶこと
●退職金を受け取るとき、確定申告(還付申告)すれば税金がお得になる可能性がある
●税金を取り戻す還付申告は1年中いつでも、5年間さかのぼって請求できる

3つです。
これらを参考に、ご自身の税金について考えてみてください。

※この記事は2020年3月時点の情報を基に作成しています。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

服部 椿(はっとり つばき)
ファイナンシャル・プランナー。金融代理店での勤務経験と、自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。子育て中のママFPでもあるため、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン相談が得意。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。

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