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Thursday, April 22, 2021

オンラインとリアルを繋げるキューブ型ステージ、東京タワーの麓に出現。配信イベント「#ミライノサクラ」 - ギズモード・ジャパン

画面越しの桜とライブ。デジタル花見に行ってきた。

桜の花、もう咲いてないじゃんと思うかもしれませんが、今年もお花見が大々的にできなかったこのご時世に「デジタルの桜で盛り上がろう」「桜の花に人の人生を重ねて、一生に一度の今年の桜に思いを馳せよう」というコンセプトの配信音楽ライブ「#ミライノサクラ」にお邪魔したのです。

開催したのはglo™と新世代のマルチ音楽メディアblock.fmで、ライブの模様はglo™のアカウントからInstagramライブにて配信されました。会場は、東京タワーの麓にある駐車スペース。氷付けにされた桜の枝と、これをモチーフに設計された透過LEDに囲われたキューブ型のステージに、アーティストのパフォーマンスとともにデジタルの桜が投影されます。

東京タワーの真下の位置に設置されたこのキューブ型ステージこそ、今回のイベントの肝。アーティストは実際にここに入ってライブを展開していきます。block.fm代表・m-floの☆Taku Takahashiさんいわく、野外で透過LED搭載ステージのライブが行われるのはおそらく初めてではないかとのこと。いやがうえにも期待が高まります。

取材で訪れていた僕たちメディア関係者は、新型コロナウイルス予防ガイドラインに則って、会場である駐車場内に停めた車内のFM電波を通じて音楽を楽しむ「ドライブインフェス形式」にて、ライブを観賞してきました。

Video: block.fm/YouTube

透過LEDに映るVJの映像で、ハイブリッドなライブ体験

透過LED搭載のキューブ型ステージは、映像が投影されていない状態だと、アーティストは囲まれた網戸の中にいるような感じ。インスタライブの配信では、キューブの中の様子も鮮明に映し出され、外から観た光景とスイッチングで映し出されています。

最初に登場したアーティストは、ぷにぷに電機。VJの映像とキューブの中の姿が透ける演出が、ぷにぷに電機の淡い歌声ともリンクして透明感たっぷり。エレクトロとジャジーサウンドを融合させた楽曲で、画面越しのオーディエンスを魅了しました。雨をテーマにした楽曲では、現場で降っていない雨の降る演出が楽曲のエモさを際立たせる一幕も。

東京タワーというロケーションに合わせた小粋なシティポップセットを披露したtofubeatsのパフォーマンスは、キューブ内の様子が一切透過LEDに投影されず、ひたすらVJの映像が流れる仕様。会場にいた僕は、tofubeatsの姿や手元が映し出されたインスタライブの配信を見て初めて実際に彼がキューブの中でプレイしているのを実感できた、オンラインとリアルが歪んだような不思議な感覚でした。

つづく、大沢伸一とRHYMEによるユニット、RHYME SOは、透過LEDキューブの演出が特に際立ったステージに。RHYMEの縦横無尽なパフォーマンス×大沢伸一のエレクトロサウンドに、テクノロジー全開のVJが迫力満点。インスタライブの配信でも、コメント欄が大いに沸きました。

ラッパーのSKY-HIは、自身の人気曲を、エミネムの「Lose Your Self」やニルヴァーナ「Smells Like Teen Spirit」などとマッシュアップ。配信に映るSKY-HIの姿に、目立ったのは「会場に行きたい」というコメントでした。会場では、ステージを動き回るSKY-HIと、透過LEDキューブに映しだされるVJのダイナミックな演出、その両方を堪能できたので、やはりコロナ禍が過ぎたら会場をメインとした開催にも期待したいところです。

トリを飾ったのは、イベントのメインMCも務めた☆Taku Takahashi。桜をイメージした映像が多く流れ、古今東西のダンスミュージックをミックスした☆Taku TakahashiらしいDJで会場を盛り上げました。この日、自身のInstagramストーリーで「今日の会場、エヴァ感ある」と東京タワーを映していただけに、宇多田ヒカル「Distance(m-flo Remix)」でスタートし、「桜流し(El Poco Maro Remix)」で終わる、まさしく“エヴァ感”のあるセットでフィナーレ。デジタルで映し出される夜桜に相応しい楽曲が流れるなかで、感傷に浸ってしまいました。

キューブ型ステージが、オンラインとリアルを繋げる

VJによる透過型LEDの演出とリアルのパフォーマンスが融合したライブは、視覚的にも新しい体験を生みだしました。ぷにぷに電機の雨の演出、tofubeatsの手元、RHYME SOの映像と音楽の一体感、SKY-HIのアグレッシブな動き、☆Taku Takahashiによる“デジタル花見”というシチュエーションを活かしたフェス感。各アーティストの楽曲と個性に合わせて透過LEDに映し出されていた映像が、実際にそこにいるアーティストのフィジカル感を融合していたのが新鮮でした。

配信視聴と、ドライブインフェス形式でのリアル体験(今回は関係者限定でしたが)。その両スタイルで音楽を楽しめるというコロナ禍における野外イベントの新しいかたちを「#ミライノサクラ」は提示していたように思います。

キューブ型ステージの中は、アーティストが紡ぐ音楽によって、オンライン空間(インスタライブ視聴者)と現実世界(来場者)が繋がる空間。それはまさに、これからもしばらくは続くであろうコロナ禍でのフェスやライブに必要なイメージの象徴のようでもありました。

Photo: block.fm

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