東京オリンピックの聖火の引継式が、19日、ギリシャの首都アテネで行われ、開催都市の東京に聖火が引き継がれました。聖火は19日夜、特別輸送機で日本に向けて出発します。
式では聖火ランナーとして出席する予定だった柔道の野村忠宏さんやレスリングの吉田沙保里さんのメッセージが映像で流されました。
野村さんは「出席できなかったのは非常に残念だが、今まさに、聖火が日本に向かうことを大変誇りに思う。聖火を掲げることにより、平和・団結・友愛といったオリンピックの理想を体現し、日本、そして世界をつないでいきたい」と話しました。
吉田さんは「今まさに東京オリンピックに向けてがんばっている世界中のアスリートたちがいる。そんなアスリートの想いをのせて聖火が日本中をかけめぐると思うととても楽しみだ」と話しました。
このあとギリシャの聖火ランナーが聖火をスタジアムに運び入れたのに続き、東京大会組織委員会の森会長が映像でスピーチし、「７月24日、東京の新しい国立競技場に必ず聖火がともされることをお誓い申し上げる」と述べて、予定どおりの大会開催に向けて準備を進める考えを強調しました。
そして、森会長に代わって起用されたアテネ在住で1996年のアトランタ大会に競泳で出場したオリンピアン、井本直歩子さんがギリシャオリンピック委員会から聖火のともったトーチを受け取り、東京に聖火が引き継がれました。
聖火はランタンに移されてスタジアムをあとにし、日本時間の19日夜、特別輸送機で日本に向けて出発する予定です。
そして、20日午前に宮城県の航空自衛隊松島基地に到着し、東日本大震災の被災地の東北３県で展示されたあと、今月26日から国内での聖火リレーがスタートします。
聖火は井本直歩子さんへ
３歳から水泳を始め、中学２年生から競泳の日本代表として国際大会に出場し、1996年のアトランタオリンピックには800メートルリレーで４位の成績を残しました。
そして、2000年のシドニー大会の選考会後に引退し、イギリスに渡って紛争や復興支援について学んだあと、ＪＩＣＡ＝国際協力機構の企画調査員としてシエラレオネやルワンダの平和構築分野で活動しました。
そして、2007年からユニセフ＝国連児童基金の教育専門官になり、現在はアテネに住みながら、シリアやアフガニスタンからの難民の教育支援にあたっています。
引継式のあと、井本さんは聖火のともったランタンを持ちながら報道陣の取材に応じ「本当にたくさんの方が準備してきた中で、残念ながら来られなくなってしまい、自分が託された気持ちで、感無量でした」と振り返りました。
そのうえで「選手はいちばん集中しなければならない時に、このような状態になり、すごく動揺や心配をしていると思う。とにかく今できることをしっかりやってほしいという気持ちでここに光りがともったと思う」と、ランタンを見ながら話しました。
引継式 会場はパナシナイコスタジアム
聖火の引継式が行われたパナシナイコスタジアムは、ギリシャの首都アテネにある競技場で、紀元前４世紀に建設され、その後、幾多の修復と改修が行われました。
1896年の最初の近代オリンピックが開かれた時のメイン会場として知られ、2004年のアテネオリンピックでは男女のマラソンのフィニッシュ地点と、アーチェリーの会場となりました。
大理石で造られたスタンドは４万5000人を収容でき、トラックは古代オリンピックにならって直線が極端に長い１周330メートルの馬のひづめの形をしているのが特徴です。
1964年東京五輪で聖火は？
1964年の東京オリンピックでは、聖火は８月21日にギリシャのオリンピアで採火されたあと、東京大会の組織委員会に引き継がれ、翌22日にはアテネの空港を出発しました。
また、聖火が日本に運ばれる道のりは、今回はギリシャから直接向かうのに対し、前回はトルコやインド、それに香港など11の国と地域に立ち寄り、現地で聖火リレーを行ったあと沖縄に到着しました。
聖火を運ぶ特別輸送機は、前回は「シティ・オブ・トウキョウ号」と名付けられ、今回は「ＴＯＫＹＯ2020号」となっています。
大会組織委員会などによりますと、特別輸送機の中で、聖火は、万が一にも火を絶やさないよう３つのランタンにともされ、座席に設置された台に固定されて厳重に運ばれます。
1964年の東京大会の際は、３つのランタンに入れられて運ばれたということです。
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March 19, 2020 at 03:06AM
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オリンピックの聖火 東京に引き継がれる ギリシャ - NHK NEWS WEB
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